「廊下でわざとじゃないがぶつかられて痛かった」これはいじめでしょうか?という質問に、一般社会ののほとんどの方は「そんなんいじめじゃないよ。」とおっしゃると思います。しかし、その記事の中でも説明していますように、学校では法(いじめ防止対策基本法)によっていじめと認知しなければなりません。極端な例かもしれませんが、他にも一般社会ではいじめと捉えないようなことも、学校ではいじめと認知します。
では、なぜ軽微なこと、意図的でないことまでいじめと認知するのでしょうか?順を追って説明します。
まず、危機管理の基本認識の一つとして、ハインリッヒの法則があります。これは、アメリカの損害保険会社で働いていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、6000近くのデータを分析して発見した統計上の法則です。
ハインリッヒの法則は「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事故)の背景に、29回の軽傷(応急手当などですむかすり傷など)、傷害のない事故を300回起こしている背景があるというもの。さらに300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも示しています。
この法則にいじめの態様を当てはめてみると次のようになります。そして、法が定めるいじめの認知を行い、最下段のひやかし・からかい程度のいじめを積極的に認知し、安心・安全な学校づくりに積極的に取り組むとなれば、図のA部分がなくなり、その上のBもなくなるだろうという論理なのです。
このことについては、文部科学省も学校に次のように通知しています。
「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価する。
(平成27年8月17日付け児童生徒課長通知
つまり、いじめの重大事態を少なくするために、子どもたちの命と不登校を未然に防ぐために、軽微なものも、もっと言えばいじめにつながるような行為を積極的に認知し、子どもたちが笑顔で過ごせる学校づくりをしましょうということなのです。
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