不登校 第2回 不登校の基本認識

 不登校への対応を考える際に、まず不登校対応の基本認識を理解しておくことが重要です。

 文部科学省や国立教育施策研究所(いわゆる国研)が示している不登校への基本認識を整理して、簡単にまとめると次の4点になるます。

1 社会的自立をめざす

 不登校の子どもたちへの支援の目標は、学校に復帰するという結果のみを目標とすることは望ましくありません。支援の目標はあくまでも子どもたちが精神的にも経済的にも自立し、自己実現を図ることができるようにすることです。

2 学校教育の重要性

 学校復帰が最終目標ではありませんが、学校教育の果たす役割は極めて大きく、学校で多くの仲間と活動を共にし、様々な体験を通していわゆる「生きる力」を身につける場に変わりはありません。学校になじめない子どものために、その原因や要因を分析しその解消に務めることも学校の重要な取り組みです。

3 学びの保障

 不登校の子どもには学業や進路選択において、配慮が必要です。学ぶ場所として「教育支援センター」(適応指導教室)やフリースクールなど公共の施設や民間機関との連携も必要になります。また、ICTを活用したオンラインによる学びも考えましょう。一人ひとりの学びを保証することは「教育機会確保法:平成28年12月」や「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(cocoroプラン):令和5年3月」んどで、法や通知として学校に示されています。

4 問題行動?

 前回第1回に示しているように、不登校は問題行動ではありません。法(教育機会確保法)でも学習指導要領にも、文部科学省からの通知文でも「問題行動と捉えないよう」と示されています。

詳しくは第1回を御覧ください。

 

 

 以下不登校に関する文部科学省通知、及び不登校に関する調査研究協力者会議報告の主なものを示します。

◯不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日

「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日:文部科学省

 《これまでにも文部科学省通知で不登校児童生徒の学習成績の評価については可能でしたが、正式に学校教育法に法として位置づけた。》

◯不登校の要因分析に関する調査研究報告書令和6年 3 月公表

https://kohatsu.org/pdf/futoukouyouin_202408_a6.pdf

https://kohatsu.org/pdf/futoukouyouin_202403_g2.pdf

《不登校の状況については文部科学省の生徒指導上の諸課題調査(学校の教師にのみ実施)の中で毎年実施されてきましたが、不登校の要因について現実を反映していないのではないかとNPOや保護者等から指摘を受け、本調査を委託した結果、特に不登校の要因について、いじめが原因という項目について、本人・保護者・学校と大きく食い違い、ちょっとしたニュースになった。》その結果、令和6年度の文部科学省調査の「長期欠席の状況に関する実態調査の7不登校の要因が 大きく変えられた。》

◯「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」令和5年11月17日

「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」令和5年11月17日:文部科学省

 《「学校復帰を目標にしない。学びを保証する場所を」と言い続けたが、不登校数が30万人に達することとなり、他の省庁からの圧力を受けて、「やっぱり学校も大事ですよ」と言っている通知文》

◯「不登校に関する調査研究協力者会議報告書~今後の不登校児童生徒への学習機会と支援の在り方について~」について(通知)令和4年6月

https://www.mext.go.jp/content/20220610-mxt_jidou02-000023324-01.pdf

 

◯「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日

「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省

 

◯不登校児童生徒への支援に関する最終報告 ~一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進~(報告) 平成28年7月

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/08/01/1374856_2.pdf

 

コメント