不登校 第4回 学校における不登校対応の要点 1未然防止

今回から数回に渡って小・中・高における不登校対応のポイントについて、少し詳しく示して行きます。まず、今回は対応のポイント(要点)項目を示して行きます。そして、項目ごとに詳細に内容を示したいと思います。

学校における不登校対応の要点

1 未然防止

対応において最も重要なことは、不登校の子どもたちを生まないことです。不登校の要因は様々ですが、文部科学省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(以下諸課題調査)において、令和4年度調査では小中学校の不登校の要因は「無気力・不安・・・51.8%1」「生活リズムの乱れ・遊び・非行・・・11.4%」以下10%未満で「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「親子の関わり方」・・・と続きます。ところが、平成18年ぐらいから不登校関連の全国のNPO法人等が独自に調査を行っていましたが、この文部科学省の調査は実態を反映していないのではないかと疑問を呈していました。そこで、令和5年文部科学省は「不登校の要因分析に関する調査研究」と称した事業を大阪府吹田市、広島県府中町、宮崎県延岡市、山梨県の4つの自治体に委託します。この調査の特徴は、不登校の子どもたち、保護者、教師の3者に調査したことです。文部科学省の諸課題調査は学校のみへの調査です。つまり教師にしか調査していませんでした。

その結果、不登校の要因の中で諸課題調査と最も異なったものは、「いじめ被害」でした、本調査では「いじめ被害」について、教師は4.2%、児童生徒は26.2%、保護者は29,2%の結果でした。さらに「教職員への反抗・反発」においては、教師3.5%、児童生徒35.9% 、保護者44.7%と言う結果でした。

そこで、文部科学省は令和6年度の諸課題調査から、不登校の要因の項目を、「いじめ」を「いじめの被害の情報や相談があった」「教職員との関係をめぐる問題」を「教職員との関係をめぐる問題の情報や相談があった」とし、他の項目についても全ての項目について、幅広く捉えるよう変更しました。

何が言いたいのか!

学校でのいじめや教職員との関係がかなりの割合で不登校の要因となっている。ということがはっきりと調査結果として示されたということです。また、この調査結果を詳しく見ていくと、かなりの割合いで不登校の要因が学校にあることがわかります。諸課題調査と異なり抽出調査ではありますが、信頼度は90%を超えているそうです。

不登校の未然防止の第1歩は、子どもたちにとって学校がいじめ等のない安全で安心であること、関わってくれる大人との関係が良好であること、そして自己存在感や自己の成長の自覚を感じられること。そんな行きたい学びたい学校づくりが未然防止の柱です。

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