いじめの未然防止 イ わかる・できる授業づくり

ア 自己指導能力の育成
イ わかる・できる授業づくり
ウ 「居場所づくり」と「絆づくり」
ヱ 人権意識の高揚と規範意識の醸成
オ 他者と協働する態度の育成
ヵ いじめの未然防止教育の実施
キ゚ SOSの出し方に関する教育の推進

 いじめの未然防止の取組は前回示したように上の7つの取組でした。今回はイ わかる・できる授業づくりについて示します。

イ わかる・できる授業づくり

 授業づくりといじめがどう関係してるんでしょうか?
 子どもたちの学習意欲の低下や学習に対して自信がないなどの状態で毎日を過ごすのは苦痛でしかありません。そのような状況では決して学力は向上しないでしょう。授業がわからない、できないではさらに基礎学力の低下をもたらし、自己存在感や達成感を感受することは難しくなります。そうなると自己指導能力を獲得することは困難になります。また、ストレスも増加し、学級での人間関係にも影響を及ぼすことにもつながりかねません。学校での生活の大半をしめる授業が理解できて、主体的に活動に参加できる「わかる・できる授業」であれば、仲間の悪口を言ったり仲間を陥れるような行動を取ったりすることは少なくなるはずです。

 わかる・できる授業づくりのための教師の基本的技能は、教材解釈から始まる学習指導の構成力とか児童・生徒観の理解など、様々な力が必要とされると思いますが、いじめの未然防止という観点からすれば、ポジティブストロークとポジティブメッセージでの温かい指導・支援です。

 言い方の違いは心の違いと言われます。同じ内容のことを子どもに指導するのに、子どもの良さに視点をあててほめるのか、子どもの課題に視点をあてて伝えるのか。例えば、「毎日漢字の書き取りをすると、どんどん漢字が身につくよ。」と言うポジティブメッセージと、「毎日漢字の書き取りをしないと、漢字が書けなくなっちゃうよ。」ということは同じ内容を指導していても子どもが受け止めるイメージは正反対です。どちらが子どもの指導にとって適正かは言うまでもありません。

 授業中ということではありませんが、帰りの会や学校行事などの時間に、ポジティブメッセージの活動を取り入れることもいじめの未然防止に役立ちます。図の右下に示しているような帰りの会での「ほめ言葉のシャワー」やと題して、1日の中で学級の役に立つような行動や優しいことを行った人をみんなで褒める活動の時間を設定したり、「ありがとうメッセージ」と題して、ポジティブなメッセージを伝え合う活動を行ったり、することはいじめの未然防止に繋がります。ポジテイブストロークとポジティブメッセージで心優しい子どもたちや学級集団を育て、支持的な学級風土を育てることがいじめを産まない学級集団づくりの第1歩だと思います。

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