学校の危機管理 第4回 組織的対応の基本(報告と指示)

 組織的対応の基本(報告と指示)

 よく一般的に会社や学校など集団で仕事をする上で「報連相は大事だよ」とか「まずは報連相だよ」などと言われます。組織の中で円滑に仕事をしていくためには報告、連絡、相談を心がけ仕事ましょう。ということでしょうが、組織論上は上司からの「指示(命令)」とそれに対する上司への「報告」しかありません。「連絡」や「相談」は必要ないということではありません。連絡や相談は潤滑油のようなもので、無いと組織運営は硬直し成果を上げることはできません。

 例えば、最も最初にできた目標達成のための組織は軍隊だと言われています。軍隊の場合上官が指示(命令)したら、指示(命令)を実行し、その結果を報告し仕事を完了するだけの話です。その間、誰かに相談したり、他の部局に連絡することは基本ありません。複数のチームで仕事をする場合は「連絡は必要だろう」と思われるかもしれませんが、連絡が必要な場合はそのことも含めて「指示(命令)」が行われているからです。

 学校での指示(命令)と報告の流れは基本的に下の図のようになります。もちろん案件によっては例えば教頭先生から直に学級担任の先生へ指示があることもありますが図の左右に示しているように指示と報告は対になるはずです。

 ここで、疑問が起きてきます。それは「学校ではいちいち上司からの指示(命令)で仕事をしているのか?」という疑問です。「例年どおり」「暗黙の了解、あたりまえ」で動いている学校が結構存在しているのも事実です。最近では「学校組織マネジメント」を理解している学校(校長)では、指示にあたる内容を「ガイドライン」や「マニュアル」という名称で教職員が共有しています。例えば、学級担任の先生がいじめを発見したら、すぐにガイドラインに沿って学年主任に報告するということです。

 蛇足と思いますが、いろいろな会議で、その終わりに校長先生(トップリーダー)が「では、今日の会議のとおりよろしくお願いします。」と締めくくれば、これは校長からの指示(命令)です。会議以外でも図の上位にいる人から「・・・お願いします」は指示(命令)にあたります。

 これまで、学校においては長い間組織的対応ということが曖昧にされてきました。組織論でいうと学校組織は以前から「マトリックス組織」です。縦の教務部や生徒指導部などに横の学年部が交差している組織です。この組織の欠点は2人の上司が存在することによる組織運営の難しさです。それにより危機管理上は指示(命令)・報告体制を明確にしておかないと不安定な組織なのです。(学校経営 第2回 学校組織 で詳しく述べています)

 

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