学校の危機管理 第8回 重大事案(事態)を回避する

 学校で児童生徒に関わる事故や事件、いじめが要因による自殺・不登校・体調不良(いじめが原因による重大事態)などは絶対にあってはならないことです。

 では、児童生徒に関わる重大事案(事態)を回避するために認識しておかなければならない最も基本的な事項が次に示すハインリッヒの法則です。ヒヤリ。ハットの法則とも呼ばれています。

 ハインリッヒの法則と聞けばほとんどの人がどこかで聞いたことがあると答えるでしょうが、今一度簡単に触れておきます。

 ハインリッヒの法則とは、アメリカの損保会社で働いていたハーバード・ウイリアム・ハインリッヒが多くのデータを分析して災害や事故の発生に関する統計を導き出した法則です。簡単にいうと、重大事故がどのくらいの割合で起こるか表すものです。

 これは、1 件の重大事故の裏に29 件の軽傷事故と300 件の無傷事故がある。そしてその背景には数千の不安全行動や不安全状態があるということです。

 このハインリッヒの法則に、学校での怪我などの事案や事故やいじめの重大事態を当てはめてみると上の図の左のようになると思います。右側の「重大な事件・事故」が左側でのいじめ問題では自殺や不登校、あるいは教育活動中の事故、例えば体育の時間の重篤な熱中症であるとか、理科の実験中の取り返しのつかないような事故などが相当すると思います。

 そこで、そのような重大な事案(事態)を起こさないためには、下の図のように、数千あるハザードのうち消せる部分(図の青色部分)はできるだけ消去することで、重大な事案(図の青の上の白い部分)をなくすということです。具体的には、例えば理科の授業であれば授業計画をきちんと立て、事前の実験を行なったり、普段から学習規律を徹底させておくなど、安全・安心な風土の醸成を図っておくことで、事故などがなくなるということです。

 つまり、不必要なハザードの消去こそが重大事案(事態)をなくす基本中の基本だと思います。蛇足ですが、コンプライアンス意識の少ない学校や組織マネジメントに基づく学校経営がなされていないような学校、いわゆる「ゆるい学校」は大変危険な状態にあると思います。

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