前回、不登校対応の要点として、未然防止について少し述べました。今回は不登校を未然に防止する具体的な学校経営や教育活動などについて示します。
1「自己指導能力」を育てる
まず、未然防止策の第一は、学校の全員の子どもたち一人ひとりの中に「自己指導能力」を育てることです。自己指導能力とは、簡単に言うと図に示すように、現実の自分を見守る「もう一人の自分」が現実の自分をコントロールする力です。
では、「自己指導能力」を育てる教育活動にはどんなことがあるのでしょうか?
それは、まず「もう一人の自分」から「現実の自分」を「見つめ」させ、「もう一人の自分」の存在に「気づかせる」ことから始まります。《1見つめる 2気づく》
ほとんどの授業や活動の終わりには「振りかえり」の時間を設けて、「今日の学習を振り返りましょう」などと、まとめたりしませんか?これは「もう一人の自分」が現実の自分の活動を観て達成感を得たり、反省をしたりしているのですね。
また、問題行動(いじめや喧嘩など)の指導において「こんな自分をどう思う?」と問いかけるのはよくあることですね。問題行動だけでなく、仲間の役に立って褒められている自分を「◯◯さん、嬉しかったでしょう。」などと、振り返らせるのも「1見つめる」にあたり、これも「もう一人の自分」から現実の自分を見つめさせているのです。
最後は「3育てる」です。「もう一人の自分」を現実の自分が育てるような活動が必要になります。
毎日の学習での、1見つめるや2気づくの振り返る活動を通して「もう一人の自分」は育って行きますが、ロールプレイやソーシャル・スキルトレーニング等を通しても育つと言われています。意図的に私がよく実践していたのは「自己評価シート」の活用、協働学習の実施、対話を重視した学習活動などです。例えば「10年後の私からの手紙」や「今日までの自分史作成」などはもう一人の自分を育てる教育活動の典型です。
最後に、生徒指導提要では自己指導能力を育むためには、全ての教育活動で次の「生徒指導の実践上の4視点」を踏まえて実践することが、自己指導能力を育むことに繋がると述べています。
①自己存在感の感受 ②共感的な人間関係の育成 ③自己選択・決定の場の提供 ④安全・安心な風土の醸成
このことについては、今後詳しく示していきたいと思います。
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